鉛筆は、かつてのようには使わることが少なくなってきています。
しかし、この小さな筆記具について語るとなると、信じがたいほど多くのことを語ることができるのです。
たとえば、ヘンリー・ペトロスキーは『鉛筆』(邦題『鉛筆と人間』晶文社)という大著を書いています。
筆記具は、わたしたちの思考やアイデアを書き表すことで具体化し、見たことや聞いたことなどを記録する、思考と情報にかかわる道具です。
インクや墨汁という液体を使わず、また、備品もなく鉛筆はすぐに使えます。
また、持ち運びも簡単です。
古くは鉛筆はいわば夢の筆記具であったといえるでしょう。
古代ギリシャやローマで鉛を筆記具に使うことが行われていました。
また、紀元前の15世紀のエジプトの遺跡からは石墨の破片が発見されています。
しかし、おそらくこれは筆記具ではなく染色に使われたものだろうといわれます。
やがて、鉛の筆記具は改良され、滑らかな鉛の合金がやがて使われるようになりました。
ペトロスキーによると、12世紀にはドイツ人の僧侶ドフィルが鉛と錫の合金による尖った形状の筆記具について記述しているといいます。