ゼム・クリップは、きわめて簡単な仕組みでとても便利な道具です。
ヘンリー・ペトロスキーの『デザインによる発明』(ハーバード大学出版)には、この小さな道具についての興味深い記述があります。
スキーはゼム・クリップには、らしく、『有用なことの進化』(ノップ)でもふれています。
ペトロスキーによれば、ゼム・クリップはわずか4インチの針金を3回曲げただけの、とるに足りないもののように見えながら、実によく考えられた道具だといいます。
こうした単純な道具には、誰もその仕組みなどに気をとめたりしません。
しかし、こうした簡単な道具にこそ、なかなか高度な仕掛けがあることが少なくないのです。
ゼム・クリップは、あれだけ単純な構造で、スプリングの機能を持っており、そのスプリングの機能で紙を挟んでいるのです。
そんなことは誰も意識しないけれど、たしかに、ものを挟むメカニズムはスプリングなのです。
洗濯挟みもダブル・クリップも例外ではありません。
それぞれスプリングの構造が異なるだけです。
ゼム・クリップがそのメカニズムを利用したものだとは、日常的には意識することはありません。
しかし、ゼム・クリップのスプリングが伸びて機能をはたさなくなっている状態を見て、それがスプリングであったことに気付くのです。
