ピープスは多忙な毎日の生活のなかで、多くの人に逢っていますが、まだ厳密なタイムスケジュールによって仕事をしていたように思われません。
突然人が訪ねてきたり、奥さんといっしょに買物に出かけたり、コーヒー・ハウスで長いおしゃべりを楽しんだりして、忙しいなかでもかなりのんびりした生活を彷彿とさせます。
・・・しかし、そうした日記にしばしば時間のアポイントメントで人に逢ったり食事をしている記事が見えます。
ですからピープスの日記から推察すると、17世紀中ごろには既に時間の約束が、多忙なビジネスの世界では一般化しつつあったと思われるのです。
ピープスはD&G 時計のようなウォッチをもつことができる身分になったことをたいそう誇らしく思い、見知らぬ人にまで時間を告げまわった、と日記に書いています。
また、1664年12月31日の日記には、
「時計が夜の一時を打つのを聞くや、暖炉の傍らにいた妻にキスをし、新年の挨拶をした。
時計が一時を打つなり挨拶をしたのだから、私こそイギリスで今年最初の正真正銘の新年の祝賀者だと信ずる」
・・・と書いたりしているところをみると、ピープスはいつも時計を傍らにおき、時間の生活を心掛けた当時きってのダンディでした。